LAWRENCE WEINER / ローレンス・ ウィナー

LAWRENCE WEINER / ローレンス・ ウィナー

 

FROM THE HEAVENS
FROM THE PRAIRIES
FROM THE SEA
FROM THE MOUNTAINS

 

2020

ローレンス・ウィナーは、1960年代に台頭したコンセプチュアル・アートを牽引してきた中心的なアーティストのひとりである。活動の初期からステートメントを掲げ、自らの芸術を「インフォメーション」と定義し、言語を主要なメディアとする制作活動を続けている。その作品は、論理や時間、空間に対する認識に働きかけながら、鑑賞者に自らを取り巻く世界と向き合うことを促している。素材の構成要素や色、時空間の描写などが相互に作用しながら、鑑賞経験や解釈を発展させ、象徴的な言葉が想像力を喚起させる。作品の発表の場は、美術館やギャラリーといった展示空間に限られることなく、建物の壁面やビルボード、あるいはマンホールといった街のあらゆる場所に展開されており、作品は街の一部となり、同時に街の風景は作品に取り込まれていく。作品はサイトスペシフィックであるという意味においてのみ存在するものではないが、設置される都市や場所の特色、あるいは文化的、社会的な背景とも関わりを持つものである。

今回のコミッションワークも、前橋という土地の歴史や風土、地勢的な特色、さらには街の掲げるヴィジョンが意味することについてのリサーチをもとに制作された。言葉と造形は、前橋を象徴する風と川からインスピレーションを得たもので、山と平野が生み出す風と雨、風と雨とが大地を横切る川を形作り、やがてはその川が遠くの海とつながってより広い世界と結ばれていくという、ダイナミックなイメージから構想されていった。作品によって、この地が「天国」、「平原」、「海」、「山」からつながり、それらが交わる場所であることを意識するようになる。

作品に用いられた色は、太陽を思わせる赤や、山の木々を思わせる緑、ウィナーのイメージカラーでもあり晴天の大空をも想起させる水色であり、すべての言葉の背景には暖かな光を連想させる黄色が配され、周辺の風景に見られる色との調和も考慮されている。国道50号に面した白井屋ホテルのヘリテージタワーの外壁に設置された作品は、前橋に暮らす人々の日々の生活に彩りを添え、訪れる人々を招き入れるようなランドマークとしての役割を果たしていくことであろう。