後藤 朋美 / TOMOMI GOTO
《開》
2020
1688年に創業し約300年の間、この街を見続けて閉館した老舗旅館「白井屋旅館」は、1970年に「ホテル白井屋」に転換し、2008年に宿を閉じた。《開》は2015年に行った白井屋プロジェクトをきっかけに出会った最後の女将、第14代目女将関根晴江さんとの6年間の交流を通して後藤自らが関根さんから聞いた当時の話:旧白井屋旅館・戦時下の話・女学生時代・家族との思い出などをもとにして作られた旧白井屋旅館の記憶の集積である。同時に当時から現在まで、この場所から見えていただろう風景や同敷地内で過ごした家族の時間を今という時に開いた作品である。今後も現SHIROIYA HOTELでの時間が追加されていく予定であり、ホテルの時と共に変化していく。
後藤朋美(GOTO Tomomi)
国内外の旅や滞在を経て作品を制作。近年の展示に、「Art Meets 07」(アーツ前橋、2022 年)、「海の森、海のいま展」(青山・スパイラルガーデン、2022年)、個展「触れることができる間に」(Ya-gins、2019 年)、「表現の生態系 ‒世界との関係をつくりかえる-」(アーツ前橋、2019 年)、個展「Platinum」(Gallery Trax、山梨、2010 年)。主なワークショップに「注ぐ・放つ・希望の光」(群馬県立近代美術館、群馬、2019 年)、「音の花束 20 周年関連ワークショップ」(東京都現代美術館、東京、2015 年)など。吉本ばなな氏著の「おとなになるってどんなこと」の装画・挿画などがある。廣瀬智央とともに前橋の母子生活支援施設のぞみの家と19年にわたるプロジェクトを継続している。